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2024/04/05

<随筆>◇逢坂の関と蝉丸伝説◇板井一訓さん

 これやこの行くも帰るも別れつつ
 知るも知らぬも逢坂の関(蝉丸太夫)

 百人一首で有名なこの歌の「逢坂の関」は我が家から歩いて40分くらいのところ。山科に引っ越してきて真っ先に行ったのが逢坂を大津側に越えたあたりにある関蝉丸神社の上社と下社。前近代の芸能史に関心を持つ私にとっては見逃すことができない聖地である。祀られている蝉丸の歌の初出は10世紀編纂の勅撰集和歌集。12世紀初頭の歌論集では「蝉丸は逢坂の関近くに粗末な藁屋を設え、琴を弾いて行き交う人々に物乞いをしていた歌読み…」と記されている。


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