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2001/01/26

<随筆>◇変貌する国際都市ソウル◇

 いまから25年ほど前、初めて乗った飛行機が大韓航空だった。欧州に出かける途中、トランジットでソウルに降り立った。

 ▼そのとき、「ソウルは漢字ではかけない固有語で、都という意味だよ」と誇らしげに教えてくれた韓国人女性のことばが忘れられない。街はごみごみして乱雑な印象を受けたが、妙に安らぎを感じたことを覚えている。

 ▼そのソウルが、ソウル五輪を成功させ、またたく間に国際都市へと発展をとげた。パリのように時間が止まったまま変化しない街もいいが、都市の魅力はたえず変化し続けるところにある。歴史と現代が入り交じり、ソウルほどエキサイティングな都市はない。

 ▼ニューミレニアム(新千年紀)を迎えて、ソウルが大きく生まれ変わろうとしている。高建市長は、「ミレニアムタウン」構想を打ち出し、いま、都心から7㌔ほどの上岩地区と蘭芝島一帯に未来都市の建設を進めている。上岩には2002年W杯メインスタジアムが建設中で、ここに330万平方㍍の巨大なミレニアム公園が誕生する。

 ▼さらに、環境にやさしいエコロジー都市やデジタルメディアを結集した情報都市も整備される。3月に開港する仁川国際空港とも専用鉄道で結ばれ、世界と直結したソウルの前進基地になるという。こういったソウルの試みは、世界の都市建設のモデルとして大いに参考になるだろう。

 ▼植民値時代に京城大学教授を務めた哲学者の安倍能成はソウルを「東洋のアテネ」と絶賛したが、21世紀のソウルは世界的都市として、ますます魅力を増すに違いない。(N)