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2006/03/17

<随筆>◇オヌチョギサンソギンガ(どちらが上席かな)◇                                                     韓国ヤクルト共同代表副社長代行 田口 亮一 氏

 昨年10月スウェーデンのカロリンスカ研究所は、05年のノーベル医学生理学賞を西オーストラリア大のバリー・マーシャル博士に授与すると発表した。受賞理由は「ヘリコバクター=ピロリ菌」(韓国ではパイロリ菌と云う)の発見と、胃炎や消化性潰瘍における役割の発見」。今日の日本・韓国のピロリ菌感染者は約50%、日本で6000万人、韓国で2500万人といわれており、50代以上では80%近くが感染しているそうです。

 さて、今日の出だしはいつもと違ってガチガチの話になってしまいましたが、実はこのマーシャル博士ご夫妻が当社の招待で3月7日より来韓され、多忙な日程の中、KTXの乗車・慶州観光とソウル観光など韓国滞在を十分に満喫して、11日次の訪問地の日本に向かわれました。

 当社と同博士の関係はといいますと、当社の研究所が独自に開発したピロリ菌退治の乳酸菌飲料「ウィル」の発売にあたり、そのTV広告に出演を依頼し(当時はノーベル医学賞をもらえる程のエラーイ先生とはサンサンドモテッタ(想像も出来なかった)、快諾を得てその後CM出演はもちろん、当社主催のセミナー等に出席・講演して頂いたりとキップン(深い)関係を築いてまいりました。

 博士はそのウィデハン(偉大な)功績と名声にもプルグハゴ(かかわらず)ワイン好き、ノンダム(冗談)好きの気のおけないごく平凡な教授という感じで大変好感が持てました。当社の役員会議室でご夫妻をお招きしてノーベル賞受賞セレモニーを開いた時のことですが、ご夫婦の席が入り口の扉の方で、招待した私共が窓を背にした日本で云う上席に準備してあるわけです。

 私は窓から外の景観を見せるためにお客さんを窓に面した方に座らせる、この韓国式の席の取り方を知ってはいたもののどうも落ち着きません。博士ご夫妻はオットニャ(どうかナ)とこっそり見ますと、やはり少しとまどった様子でしたが、「まッ良いか」とその場はそれでしのぎました。

 お昼の時間になりわが社の14階のサロンのVIPルームで昼食を差し上げることになり、そこに行きましたが、やはり同じように扉のすぐ傍に窓に面してお二人の席が用意してあり、今度は博士の顔にも若干の当惑の色がポヨッスムニタ(見られました)。

 そこで私は慌てて通訳に、「韓国では窓からの美しい外の景観を楽しんで頂く為にイルブロ(わざと)お客様を窓に面する方に座らせる」ということを説明してもらい、ご夫妻も納得されましたが、欧米風ではどうなっているのか知りませんが、やはり入り口から遠い方が上席と云う習慣にならされた私には、ちょっと居心地の悪い席の作り方ではありました。

 しかし窓の無い、例えば料亭の座敷などでは入り口に面する方が上席となるのですから、あくまで窓の有る無しで決定することらしいのですが、この辺りのキチッとした「きまり」があるのか無いのか、ご存知の方はカリキョジュシプシオ(ご教示お願い致します)。


  たぐち・りょういち 1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。