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2010/09/17

<随筆>◇日本の、これから◇ 韓国TASETO 大西 憲一 専務理事

 なにげなく見ていたNHKテレビに思わず釘づけになった。「日本の、これから」という一般市民参加による公開討論番組で、これまでも日本社会が抱えている深刻な問題をテーマにした、ちょっと見過ごせない番組だったが、今回のテーマは日韓関係。

 両国の有識者、企業人、若者などが参加し、従来、どちらかと言えば腫れ物に触るように扱われてきた日韓の歴史や竹島問題のちょっと重いテーマを国民注視の中で真正面から取り組むという、NHKでは史上初めての試みとのこと。

 今年は韓国併合100年と言う節目での特集らしいが、NHKも思い切ったなー、最近は若者の交流も深まっているので、そろそろ頃合ということかなー、でも大丈夫かなーと興味半分、心配半分で拝見した。

 討論は予想通り韓国側の攻めに対し日本側の守り、野球やサッカーの日韓戦によく似た攻防になった。そのうちに韓国側のエキサイト度が高くなってこれはやばいぞと心配になったが、ギリギリまで引っ張りながら盛り上げていく三宅司会者の采配が冴えわたる。

 ところがこのベテラン司会者にも想定外の事態が発生した。有識者の一人として参加していた某有名映画監督が突然、激怒したのだ。確かにその前の日本人学生の不見識とも思える発言には私も唖然とした。どうしてこんな発言を?と耳を疑ったが、自説を一方的に主張する若者たちの討論を静かに見守っていた監督も我慢の限界を超えたようだ。場内は一気に緊張した。となりの大学教授が慌ててとりなそうとしたが、気まずい空気が充満した。

 この種の討論会は最初から結論は期待せず、双方の意見を率直にぶつけあって少しでも理解を深めることにあると思うが、その面ではある程度の収穫があったと思う。ただ、いつものことながら両者の歴史認識のギャップ、特に日本側の若者の不勉強が目についた。正確な歴史認識がなければ討論にならない。

 総じて日本人は昔の歴史にはやけに詳しいが現代史に弱い。鎌倉時代や江戸時代はともかく縄文・弥生時代までもよく知っているが、現代に生きる人間なら現代史を知らずしてどうするのか?教育が悪い?確かにそれもあるが、自分でも勉強できるはずだ。(偉そうにいうけど、お前の若い時はどうだったの?)天の声に思わず俯いてしまうが、それだけに、今の若者にはもっと勉強してほしいのだ。

 最後を締めた某有識者の言葉が印象に残る。

 「もっとも大事なのは相手の立場を思いやる真心。それに今こそ日韓が協力して巨大な中国に対応すべき時ではないか」。


  おおにし・けんいち 福井県生まれ。83―87年日商岩井釜山出張所長、94年韓国日商岩井代表理事、2000年7月から新・韓国日商岩井理事。09年10月より韓国TASETO株式会社・専務理事。