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2022/02/18

<随筆>◇在日意識は視野を狭める◇ 海龍 朴 仙容 相談役

 とうとう後期高齢者に突入、老い先が見えてきた。それで、生い立ちを振り返って、その時々の思考の変遷をたどってみた。幼年・少年期は朝鮮人であることを嫌い、青年期は被差別体験を経て日本人を嫌い、在日組織の中に身を置いた。

 同じ境遇の仲間と集まり、一時は心身が癒されたが、異国で固まる群れも、居心地のよいものではなく、本国(韓国)に対する関心が高まった。40歳になった時に本国で仕事を得た。偶然な機会から始まったが、これが一筋縄ではいかない、どんどん深みにはまりこみ、抜き差しならないことになっていった。度重なる苦い体験から、日本を憎む気持ちが薄らぎ、本国嫌い感が強まった。韓国に馴染めずに、親日感情が大きくなったのだった。


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