ここから本文です

2023/03/17

<随筆>◇雪の日に◇呉 文子さん

 東京にしんしんと牡丹雪が舞った2月10日、綿の花が咲いたような民家の樹々を眺めながら、24年前のあの日を思い出していた。あの日の日記帳には次のように記されている。

 「1999年2月10日、底冷えのする大変寒い朝、急性心不全でのあっけない最期だった。享年38歳、甲州街道筋の欅並木が牡丹雪に覆われ、純白の花々を咲かせていた…」。


つづきは本紙へ