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2023/06/09

<随筆>◇李韓烈記念館を訪問して◇ 康 玲子さん

 5月のある日、ソウル新村(シンチョン)にある「李韓烈(イ・ハンニョル)記念館」を訪れることができた。延世(ヨンセ)大学校の学生として民主化闘争に参加し、1987年6月、デモの最中に戦闘警察が発射した催涙弾の直撃を受け、翌月死亡した李韓烈の記念館だ。

 彼のことは、韓国映画『1987、ある闘いの真実』(18年日本公開)によって記憶にとどめている方が多いのではないだろうか。カン・ドンウォン演じる李韓烈は、誠実で心優しく未来に大きな可能性を秘めた青年だった。その彼がなぜ志半ばで命を奪われなければならなかったのか映画を観た人は、当時の韓国民衆の怒りを共有するともに、その怒りがそのまま民主化闘争の大きなうねりとなっていくのを追体験したはずだ。


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