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2010/04/16

<Korea Watch>現代製鉄・一貫総合製鉄所が竣工

  • 現代製鉄・一貫総合製鉄所が竣工

    竣工ボタンを押した後、拍手する関係者。中央右が李明博大統領。
    同左が鄭夢九会長

 現代製鉄は、忠清南道唐津(タンジン)で一貫総合製鉄所総合竣工式を行い、本格的な稼動に入った。鄭夢九(チョン・モング)会長は式辞で「一貫製鉄所の竣工で、現代・起亜自動車グループは銑鉄から自動車生産にいたる世界初の資源循環型事業構造を実現した」と述べた。ポスコに次ぐ一貫総合製鉄メーカーの誕生で、韓国の高炉市場はポスコ・現代製鉄2社による競争時代に突入した。

 竣工式には、李明博大統領をはじめ、丁世均(チョン・セギュン)・民主党代表、崔炅煥(チェ・ギョンファン)・知識経済部長官、趙錫来(チョ・ソンネ)・全国経済人連合会会長、孫京植(ソン・ギョンシク)・大韓商工会議所会長ら政財界代表をはじめ、海外の協力企業代表、現代自動車グループ関係者ら2500人が出席した。

 李明博大統領は祝辞で「1970年に浦項製鉄(現ポスコ)が鉄鋼韓国の最初の火をつけてから40年。われわれは今、大韓民国鉄鋼産業の第2の飛躍を宣布する現場に立っている。世界的な経済危機の中でも、果敢な投資を惜しまず今日を築き上げた鄭会長のリーダーシップを高く評価したい」と述べた。

 今回の一貫総合製鉄所の建設には、総額6兆2300万ウォンを投入。年間400万㌧の粗鋼生産能力と鉄鋼製品を安定的に供給するシステムを備え、世界の一貫製鉄所で初めて、密閉型製鉄原料処理システムを導入した。17万人相当の雇用創出、年間24兆ウォンの生産誘発効果、80億㌦の輸入代替効果が期待される。

 11月には第2高炉が完成する予定で、年間粗鋼生産能力は800万㌧に増大する。これに既存の電気炉による粗鋼生産量(1150万㌧)を加えると、現代製鉄は年間1950万㌧の粗鋼生産能力を確保し、世界12位の鉄鋼メーカーとなる。

 鄭夢九会長にとって一貫製鉄所の完成は、父である故・鄭周永(チョン・ジュヨン)名誉会長が2度も失敗した念願の事業をついに成功させたという大きな意味がある。鄭会長は一貫製鉄所の建設工事には最初から最後まで、直接関与した。昨年、唐津工場を訪れた回数は64回、今年に入ってから20回にのぼる。このような陣頭指揮もあって3年6カ月という短期間で完成した。

 この一貫総合製鉄所の最大の特徴は、環境にやさしい点だ。海外から導入した鉄鉱石と石炭を埠頭に下ろす段階から、移送・保管・溶鉱炉への搬入に至るまで、すべての過程を密閉型の施設で行い、汚染物質の発生を根本から遮断している。世界でも初めてのケースだ。また製鉄の過程で発生するガスで発電も行い、製鉄所の必要電力全体の80%をまかなう計画だ。

 一貫製鉄所の完成により、現代・起亜グループとしては、粗鋼生産から始まる鉄鋼製品を永久的にリサイクルする循環型事業構造を実現させたという意味合いもある。

 現代製鉄が生産した粗鋼を使って現代ハイスコが自動車用鋼板を製造し、これを利用して現代・起亜自が自動車を製造する。また、車の廃車から出た古鉄やスクラップは、再び現代製鉄の電気炉で原料として使われ、鉄筋などに生まれ変わる。これを、子会社の現代エムコが建設資材として使用する循環構造が実現した。

 唐津一貫製鉄所の竣工式で、今年の韓国の粗鋼生産能力は5660万㌧の世界5位圏に入る見通しだ。インドと同水準であり、3位のロシア(5990万㌧)4位の米国(5810万㌧)にも迫る。第2高炉が完成すれば、中国、日本に次ぐ第3位に上昇することになる。