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2014/02/21

<Korea Watch>韓国の労使問題を聞く㊦                                                          駿河台大学 朴 昌明 准教授

  • 駿河台大学 朴 昌明 准教授

    パク・チャンミョン 1972年姫路市生まれ。関西学院大学商学部卒。関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了。延世大学大学院経済学科博士課程修了。現在、駿河台大学法学部准教授。専攻分野は社会政策・労働経済論・労務管理論。主な著作に「韓国の企業社会と労使関係」など。

◆公共部門の労使関係改善が不可欠◆

――大韓商工会議所の調査によると、韓国の投資環境について労使関係を挙げた外国企業が多かった。以前から指摘されながらも改善が進んでいない理由は何か。

 韓国は日本のような長期雇用慣行が成熟していない。そうすると労使双方の関係が短期的になるため、労使が短期的利益を追求する性向を持つようになる。使用者側は希望退職などリストラを積極的に行っている。労働者側も長期雇用に対する期待が弱い分、組合が組織されて組合員になったら大幅賃上げを要求する傾向があった。ただし、国内景気の長期低迷や雇用不安等を背景に近年は大幅な賃上げ要求も困難になってきており、雇用に関わる問題がむしろ労使交渉の懸案事項になりつつある。一部の大企業で見られる長期雇用は組合の力を背景にしたものであり、雇用問題に関する労働争議がいったん発生すると深刻な紛糾に至るケースが多い。

――日本ではかつて労使関係が先鋭化しストも頻発したが、いまは協調型になっている。この日本の経験をどう参考にすべきか。

 日本の高度成長期は組合が大幅賃上げ路線を選択し、労働争議が多発した。しかし、オイルショックを契機に雇用維持と大幅賃上げ要求の自制というかたちで労使が妥協することによって労使協調が拡散した。一方韓国では、世界金融危機の際に多くの企業で雇用維持、大幅賃上げ要求の自制という労使双方の譲歩が実現した。その結果、賃上げ率は低下し、IMF通貨危機時ほどの正規職の大規模なリストラはみられなかった。ただし、正規職の安定雇用が非正規職の雇用調整に依存しながら成立している点においても、韓日は共通している。労使関係が対立的であるといわれる韓国の場合、非正規職組合が結成されると、雇用や正規職化の要求をめぐり労使の紛糾が深刻化してしまうケースが度々見られる。今後の韓国の労使関係において、非正規労働問題は台風の目となる可能性が高い。


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