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2015/03/27

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第13回                                                                  日韓産業技術協力財団 石田 賢 氏

  • 揺らぐサムスン共和国 第13回

◆巨額投資、半導体への賭け③◆

 韓国の主要産業全般に対して、中国の追い上げは急である。繊維・衣類、鉄鋼は言うに及ばず、アッという間に造船、石油化学、ディスプレー、スマホ市場さえも中国が韓国を射程内におさめており、今や半導体も中国の次のターゲットになっている。特に半導体は中国の国家戦略の対象であることから、サムスン電子にとって深刻である。中国の半導体輸入額は石油輸入額より多いことから、中国は国策として半導体産業を育成し、輸入代替を加速したい考えだ。

 サムスン電子が得意とする携帯電話、半導体いずれの産業も2000年以降のIT革命によりモジュール製品となり、製造装置、素材と部品を調達できれば、途上国のどこでもほぼ均質な組立生産が可能となった。

 IT革命が技術蓄積の浅い中国・アジア諸国の企業に手っ取り早いビジネスチャンスを創り出したのである。サムスン電子が苦心して構築したビジネス・モデルは、途上国企業に価格優位のキャッチアップ型ビジネスの成功例を提供するという、いわばパンドラの箱を開ける結果となった。

 中国の半導体(IC)事業への取り組みは、国策を後ろ盾に激しさを増している。13年6月、中国政府は15年に国内IC産業の売り上げ規模を3500億元(約6兆5000億円)、年率20%のペースで成長させることを目指す中長期的な計画を発表した。


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