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2017/12/08

<Korea Watch>通貨危機20年を振り返る

◆現代経済研が報告書、韓国経済の功罪を検証◆

 現代経済研究所は、通貨危機発生から20年を迎えた韓国経済について分析した報告書「通貨危機20年、韓国経済の功と過」を発表した。1997年の通貨危機は、当時の韓国経済が抱えていた高費用・低効率、政経癒着、企業の無謀な外形拡張などの問題点が一気に噴出して発生した。その結果、韓国は最大幅の逆成長を記録し、金融市場の混乱、大量失業、自殺者の急増など経済的・社会的被害は甚大だった。その後20年間に刮目に値する成果を収め、1人当たり国民所得3万㌦を目前にするほど成長した韓国経済を振り返り、持続可能な経済発展のための方案を挙げた。

 韓国経済は、20年間に実体経済と金融部門の規模がともに拡大した。2000年代初めのIT(情報技術)好況、中盤の新興国経済の高成長によってGDP規模が増加。特に、交易面で2011年に世界で9番目に貿易1兆㌦クラブに加わった。金融部門も、家計融資の需要増加および金融会社の資産拡大競争などで急速に成長した。

 財政収支は黒字を維持。GDPに占める政府負債比率は上昇傾向にあるが、OECD(経済協力開発機構)主要国に比べると低水準だ。持続的な商品輸出増加で経常収支の黒字基調が定着し、マクロ経済の安全性を確保した。

 2014年からは純債権国の地位を保ち、短期外債の依存度が下がるなど、対外債務の構造が改善。特に、IMF前に300 億㌦水準だった外貨保有高は12倍以上増え、対外の支払い能力が大幅に改善した。

 一方で、経済成長率は下落傾向にある。1人当たり国民所得は2万㌦台、GDP(国内総生産)成長率は2%台と停滞。少子高齢化の進行による生産可能人口の減少は労働力投入の鈍化をもたらしている。資本ストックも、人口の高齢化などによる貯金率低下、主力産業の成熟期突入による成長性および収益性鈍化など構造的要因で増加傾向が鈍化。これまでは先進科学技術を真似る方式のR&D投資で効果を上げたが、基礎部門および未知の領域の研究が遅々として進まず、限界点を超えるフロンティア飛躍はなかった。

 雇用創出力が低下し、正規職と非正職間の格差拡大、青年の失業率上昇、高学歴失業者の増加など雇用与件は劣悪になった。全般的に雇用創出力が下がるなか、労働生産性の低いサービス業が雇用拡大を主導している。正規職と非正規職の賃金格差は、企業規模が小さいほど大きくなるなど、企業規模間、正規職と非正規職間の二極化は深化。


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