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2000/07/14

<韓国文化>韓国のベストテン

 国際交流の活性化、特に日本の大衆文化開放で韓国の音楽や文学、映画などに変化がおきている。韓国の最新CD、書籍、映画の人気ベストテンを専門家の解説とともに紹介する。


 ●音楽
 ダンス音楽上位を占める
 ヤングポップ
 相変わらずダンスミュージックがチャート上位を賑わせ、過熱する市場は10代~20代ファンが90%以上を占めている。半面、人気曲も1、2カ月後にはチャート圏外に消えるほど入れ替わりが激しい。それだけに最近はアルバム製作も慎重で、十分な時間と重量スタッフの参加が目立つ。

 これまでの外国亜流から次第に国楽や地方素材Re-mixの試み等、リズム主体の中にもメロディが重視されつつありよい結果を出している。1.3.5.6.10が注目曲。10.パク・キヨンはシンガーソング・ライター、宇多田ヒカルを思わせる。

 アルバムでは「ヨジャエ ヒャンギ/女の香り」(TINPANALLEY、WJCC-0220)が話題だ。従来のオムニバス・アルバムは発表後一定期間を経たものだが、これは人気のイ・ソラ、パク・キヨン、ヤンパ、ピンクルなど17人の新曲編成だ。CATHAY PACIFICやCANADIAN SPLASH等の協賛スポンサーをつけて春~夏のキャンペーンを展開した。

 歌謡 
 テ・ジナ曲は発売一カ月でトップに立った。伝承歌謡をニュートロットにカバーしたもの。95年「カボリンサラン/去った愛」のリメークでは85週連続トップを記録したように、新曲にこだわらないテ・ジナの「歌謡掘り起こし」は高く評価される。並行して在日への愛のメッセージを込めた神戸舞台の「ミュージックビデオ」を製作、日韓文化交流への確実なステップを踏んでいる。トロット歌謡不振の現況に「若い歌手の活躍を眺めているだけでは解決にならない。このアルバムとビデオで市場に対応できることを示す」という。2.チェ・ユナは久々の注目曲、3.のジン・シモンは96年ロックから転じたニュートロットの旗手。「エス/哀愁」に続くヒットの気配。(ツカサ・コミュニケーションズ代表・小平武司)

 ◇ミュージック・ヒットチャート
 <ヤングポップ>
1 モン(あざ=精神的な打撃)   D   キム・ヒョンジョン
2 One Love        D   ワンタイム
3 オジェチョロム(昨日のように) B   ジェ・イ
4 チョロン(初恋)        D   クローン
5 Run to you      D   D・J DOC
6 ヘソクナムニョ(解釈男女)   D   クール
7 Dash            D   ペク・ジヨン
8 Sentiment        D   ビジュ
9 Tears(涙)        D   ソ・チャンフィ
10 Blue sky(青い空)    R   パク・キヨン
 <注>B=バラード(R&B、ソウル、フォークなど)、D=ダンスミュージック(ラップ、ヒップホップなど)、R=(ロック、メタル、ファンクなど)

 <歌  謡>
1 サランウン アナム ハナ(恋はだれでもできるわけではない) NT テ・ジナ
2 ワイングラス                        T  チェ・ユナ
3 トゥンバ トゥンバ                      NT ジン・シモン
4 インセンウン センバンソン(人生は生放送)          T  ソン・テグァン
5 マジ マク チョデ(最後の招待)               NT モッカチャメ
6 ユイルハン サラム(唯一の人)                T  キム・ヘヨン
7 チャンス                          NT イ・ジャヨン
8 ドゥリドゥリ                        T  パク・ユンギョン
9 ノムド アルムダンヨジ(あまりに美しすぎる貴方)       T  パク・ジョンイ
10 サムイルガネ サラン(3日間の愛)             NT イ・ヨンファ
 <注>T=トロット(演歌)、NT=ニュートロット(セミトロット、ポップ演歌、バラード)

 ●書籍
 日本の本訳本2冊入る
 つくづく「感性」の時代かなあ、と痛感する。ベスト4位に村上春樹の「ノルウェーの森」が、「喪失の時代」と改題されてランキングしている。内容は女友だちが精神を病んで、別れを迎えるというものだから、この題でもよいだろう。ただ、ビートルズの曲名に由来する原題の味は“喪失”されてしまう。携帯電話のCMに使われて再び人気上昇中。

 7位の「窓際のトットちゃん」はご存知、黒柳徹子女史のベストセラーだ。いじめられる学校から子供を転校させる話。韓国でも、そのような兆しがあるのだろうか。

 1位のチョ・チャンインの小説「棘魚」は、2カ月かけてワンランクアップした。不眠不休で卵を守るトゲウオのように、白血病を患った息子の面倒をみる父親の愛を描いた作品。

 ハウツウ物も人気がある。3と8は同じ著者。(文芸評論家/鴻農映二)

 ◇書籍人気ランク
1 小説  棘魚                  チョ・チャンイン
2 経・教 金持ちの父さん、            ロバート・キヨサキほか
      貧乏な父さん
3 教養  まだ英語を勉強してるの         チョン・チャンヨン
4 小説  喪失の時代 村上春樹
5 経・教 超短打売買を今より10倍よくする方法   キム・ドギ
6 経・教 私は長短打売買で毎日40万¥ウオン¥稼ぐ キム・ドギ
7 小説  窓際のトットちゃん           黒柳徹子
8 教養  英語を決して勉強するな         チョン・チャンヨン
9 小説  ジャージャーめん            アン・ドヒョン
10 小説  オール・イン(第1巻)         ノ・スンイル
  <注>経・教=経済・教養


 ●映画
 ハリウッドが幅きかす
 週間ベストテンの1、2位はハリウッド映画。「グラディエーター」はローマの剣闘士をテーマにした歴史史劇。「M:I―2」はスパイ映画の大作で、韓国だけでなく世界中でヒットしている作品だ。
 韓国映画は3位の「同感」と10位の「イフ」の2本。「同感」は、79年の独裁政権時代を生きる女子学生と、大衆文化とインターネットにあふれた現代の男子学生が、時空間を超えて出会う物語。SF感覚の心暖まるラブストーリーとして、ヒット中だ。新人金ジョンゴン監督のデビュー作だ。
 今年上半期の韓国映画界は、日本でも公開予定の「ペパーミント・キャンディー」「嘘」のほかに、「反則王」「アナキスト」「インタビュー」などがヒットした。

 ◇映画ベストテン(6月23―29日、「シネ21」から)
1 グラディエーター(米国)
2 M:I―2(米国)
3 同感(韓国)
4 テスティネーション(米国)
5 バトルフィールド(米国)
6 カップ(ブータン)
7 ゼンエックスカップ(香港)
8 初めて出会う自由(米国)
9 ドグマ(米国)
10 イフ(韓国)