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2001/07/20

<韓国文化>高根恵子の韓国料理

 連日の暑さで「だるくて食べる気が起きない…」「食欲がいまひとつ…」今年は6月末から周囲でこんな声がきかれるが、幼い頃より食いしん坊で健康優良児だった私には「夏バテ」も「夏ヤセ」も縁がない。丈夫に育ててくれた両親に感謝だが、夏の暑さからくる食欲不振はただ量を食べれば良いわけではない。暑さによって失われたエネルギーや水分を補う必要がある。そのためにはエネルギー源となる炭水化物(穀類や砂糖類などの糖質)・脂質・たんぱく質(魚、肉、大豆製品、乳製品など)のバランスのとれた食事や水分を充分に摂取し、またその摂取した栄養や水分が体内で充分に使われるためのビタミン類やミネラル類(鉄分やカルシウム)の摂取も欠かすことができない。残念なことに暑さで食欲不振となるとどうしてもさっぱりしたもので簡単に食事を…となる。こういう時の栄養バランスをみると炭水化物が中心になり麺類やパンなどを単品で済ませがちであるが、なるべく多種類の食材を用いて自然と栄養バランスがとれるように心掛けたいものである。

 いつ食べてもおいしい韓国料理だが、暑い夏はひときわおいしく感じられる。これはその辛さが食を進ませる、というだけではない。私達の身体は暑さを感じると血管を拡張させて、体内の熱を放散し汗としてだすことで体温の上昇を防ぐ。この働きを助けるのが韓国料理に多く使われてる「とうがらし、こしょう、しょうが、にんにく」などの食材である。これらは身体の中の水分の滞りを発散させて汗を出させやすくし、胃を刺激して消化を促す効果が期待できるのである。また、多くの韓国料理に見られる肉や魚のメイン食材にたっぷりの野菜という組み合わせはエネルギーや身体をつくるもととなる良質なタンパク質、脂質が得られると共に、その消化・吸収を助ける多くのミネラル、ビタミン類を同時に含むのである。たくさんの食材を一度に抵抗なくとれる韓国料理は自然と栄養バランスがとれる優れたものなのである。

 今回のメニューは「韓国そうめん」と「豚肉キムチ炒め」どちらもおいしくて作り方は簡単。「韓国そうめん」はきゅうりとワカメを別々に、蒸し鶏の細く裂いたものなども加えて切り方も揃えてきれいに盛り付ければおもてなしにも合う。「豚肉キムチ炒め」は甘さの出る玉ねぎや血行を良くし身体の冷えを取るにら、血液をきれいにし鎮静作用のあるセロリなどを好みで加えてもおいしい。また、豚肉に含まれるビタミンB1は炭水化物(穀類や砂糖類などの糖質)の分解に必要な消化酵素を助ける働きがあり、エネルギーをつくりだし疲労回復にも効果があるので、夏の献立には積極的に取り入れたいものである。