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2002/12/06

<韓国文化>高句麗の至宝 韓国へ

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    広開土王碑(原寸大模型) 414年(長寿王2年) 高さ6.34㍍、4面の幅1.43~1.90㍍

 北朝鮮が誇る高句麗遺跡と遺物250余点が、分断から半世紀目にして初めてソウルにやってくる。民族和解協力汎国民協議会(民和協)は、12月6日から来年の3月6日まで、ソウル三成洞COEXの特別展示場で『特別企画展 高句麗!-平壌から来た古墳壁画と遺物』展を開催する。

 中央日報とSBS、民和協が共同主催し、朝鮮中央歴史博物館(北朝鮮)と在日本朝鮮歴史考古学協会が特別後援するこの特別展は、韓国で初めて行われる、北朝鮮所有の高句麗文化遺物の展覧会だ。

 今回の企画は、南北の文化交流と民族アイデンティティの回復の一大転機になると評価する声も専門家から上がっている。南北離散家族の再会や京義線復旧などの社会・経済分野に続くこうした文化面での交流は文化遺産として南北の共通分母を探す動きとして関心を集めている。

 今回の展示では「永康7年銘金銅光背」「延嘉7年銘金銅三尊仏」など、北朝鮮の国宝級遺物4点も公開される。さらに、壁画古墳5基や東洋最大の碑文、広開土王陵碑を実物大で再現したもの、高句麗古墳壁画の模写図61点、平壌一帯で出土した怪面文丸瓦瓦当などの珍しい遺物30余点も展示される。

 光背とは、仏像の背後に付ける光明を表す装飾で、後光をかたどったもの。仏身・台座とともに仏像を構成する3要素の1つ。南北離散家族のように離れ離れになっていた「永康7年銘金銅光背」と湖巌美術館所蔵の「金銅弥勒半跏思惟像」が50年振りに再び一体となり成仏する姿は、今回の特別展の持つ意義を象徴するだろう。また高さ32㌢の朝鮮中央歴史博物館所蔵の「延嘉7年銘金銅三尊仏」は、慶尚南道・宜寧で発見された国宝119号「金銅如来立像」(国立中央博物館所蔵)と彫刻手法が一致しており、光背の後ろに刻まれた銘文の内容も類似していて、同じ年代、同じ場所で作られたものと推定されいる。今回直に三尊仏の銘文46文字を確認できるだけでも、学界にとって大きな収穫と言える。

 李ヒョング・展示企画委員会委員長は、「この特別展を契機に、南北間で高句麗史の展開が異なる理由を解明し、これから高句麗をキーワードにした南北文化の接点を探っていきたい。そしてひいては高句麗を媒介とした東北アジアでの韓半島のアイデンティティを探す作業がなされることを期待している」と話す。また、ソウルでの特別展のために、金日成総合大学と社会科学院から高句麗専攻の学者たちがソウルを訪問し、講演を行う予定もあり、南北学術交流の次元でも新たな道が開かれる。