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2002/08/30

<韓国文化>魅力あふれる造形美―韓国伝統文化の香り展―

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            婚礼服(檀国大学民俗博物館出品)

 2002年韓日国民交流年を記念して韓国伝統文化の精髄を紹介する『韓国伝統文化の香り展』が、31日から京都造形芸術大学芸術館(天心館)で開催される。今回の展示会は韓国の伝統婚礼と仏教文化をテーマに、伝統婚礼服、婚礼用品、仏教絵、香炉、仏教彫刻など多様な作品計150点余りが展示される。

 最近韓国と日本では互いの文化の精髄に接することができる展示会などが頻繁に行われており、ワールドカップの共同開催を記念して行われた韓国国立中央博物館の日本美術名品展と、東京国立博物館での韓国の名宝展などはその代表的な例だ。

 韓日国民交流の年の一環として開催される今回の『韓国伝統文化の香り展』は、このような観点からみれば日本国内で韓国の伝統文化に直接接することができる珍しい機会になる。

 展示内容は婚礼、仏教文化の2つを軸にした韓国指定の無形文化財および伝承者のレベルの高い作品約150点で、当代最高の職人によって現在に再現された韓国伝統文化の神髄を見ることができる企画。

 どこの国においても伝統婚礼の風俗と中心的な宗教に関する美術品はその民族の心性と文化的な原形質を一番よく代弁してくれるものだ。

 特に婚礼は、身分の上下に関わらず個人の暮らしにとって最も絶頂になる重要な儀式形態だ。身分による秩序の厳しかった朝鮮時代にも、官僚でない庶民に婚礼当日のみ堂上官(官位の1つ)の官服と宮中用の婚礼服と白馬とガマ(乗り物の一種)に乗ることを認めていたのがいい例だ。

 女性は結婚するとビニョ(かんざし)をチョクジンモリ(朝鮮時代、結婚した女性の髪形)に刺した。その形はたいてい一方の先が丸みをおびていて滑り落ちないようになっており、様々な飾りが付いている。

 服飾禁制のように階級社会では身分による差別が激しかったため、金・銀・玉などの材料でできているビニョは貴族が使い、庶民は木・角・骨でできているものを使った。

 三国時代に受容されてから現在に至るまで韓国で重要な位置を占めている仏教は宗教のレベルを超え民族文化の軸になり、これを元に豊かでかつ多彩な文化の花を咲かせてきた。寺院で使われる器具は数多く、儀式によって種類も様々だ。

 その中で最も神聖に思われているものは仏家の四物といわれる梵鐘(ボムジョン)、法鼓(ボッコ)、木魚(モゴ)、雲板(ウンバン)の4つの楽器。4つの楽器は朝夕の礼経のときに宇宙万状の霊を呼び集めて仏陀に帰依させ、世の苦労から開放されることを祈ることに意味がある。

 様々な仏教礼式および僧侶の素朴な日常生活用品を通じて韓国の仏教世界の奥深い精神と荘厳を理解し、韓国文化の基層に密着している仏教文化を把握する機会を今回の展示会は提供している。

 アジア民族造形文化研究所所長であり、京都造形芸術大学大学院客員教授の金子量重氏は今回の展示会の意義について、「朝鮮王朝の伝統する仕事には、韓民族の英知と魅力あふれる造型感覚がみなぎっている。それを日本の造形文化と比較してほしい。本展が韓国への理解を深め、日韓文化交流の新しい懸け橋となり、明日への創造の糧になれば幸い」と話す。

 展示会では重要無形文化財に指定された職人による刺繍、木彫などの制作実演もある。


会期:31日~9月16日まで(入場無料)
場所:京都造形芸術大学芸術館(天心館)
午前10時半~午後6時半(期間中無休)
   ℡075・791・9124

『韓国伝統音楽と踊りの大饗宴』 
日時:31日午後2時半、9月1日午後1時
場所:京都造形芸術大学内芸術劇場
料金:一般3,500円、学生1,000円
   ℡075・791・8240