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2007/11/23

<韓国文化>韓国新進オペラ歌手が日本の舞台へ

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                テノール・河碩陪さん

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                バス・李在浚さん

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                バリトン・石常根さん

 韓国の新進気鋭の音楽家が日本で活躍するケースが増えている。25日に東京・渋谷のオーチャードホールで開かれるヴェルディ作曲のオペラ「イル・トロヴァーレ」の公演には、韓国のオペラ歌手が3人出演する。彼らのインタビューを紹介する。


 ◆韓日芸術家の交流を ――テノール・河碩陪(ハ・ソッぺ)

 韓国晋州生まれ。慶煕音大声楽科卒業。イタリア・ミラノのヴェルディ国立音楽院で声楽を学び、同校にて最高演奏者課程修了。ヴェルディ国際コンクール、パルマ、ヴィオッティ、スペインのビルバオ、モンセラート・カバリエ声楽コンクールなど権威ある有名国際コンクールで優勝多数。ドイツの国営放送、フランスのクラシック放送「世界音楽界の明日のスターたち」に唯一東洋人として選ばれ、火のように熱い英雄的な声と絶賛された。

 世界の檜舞台で、ドラマティック・テノールとして活躍する韓国が誇るテノール歌手の一人。韓国啓明大学教授。

 「音楽好きの家庭に生まれたので、自然に音楽を愛しながら育った。東京は世界の都市の中でも音楽水準が高い。『イル・トロヴァトーレ』の人間愛と平和のメッセージを日本の観客に伝えたい」

 「韓国と日本は本当に近い国だ。似た点もたくさんあるが、過去の色々な問題で関係の難しい部分もたくさんある。しかし文化という共通の関心事を通じて、その壁を崩すことができるだろうと考える。両国国民は世界的文化水準を持っている。 両国の芸術家による多方面の文化交流を通じて、両国がさらに近づけたらと願っている」

 ◆日本の観客と一つに ――バス・李在浚(イ・ジェジュン)

 ローマのサンタ・チェチーリア音楽院を終了後、ヨーロッパの主要コンクールで優勝、入賞を果たす。ソウルでヴェルディの「リゴレット」「ルチア」「仮面舞踏会」、プッチーニの「トスカ」など舞台に立ち、バスにとって重要な役を演じて韓国内での評価を確立した。

 その後、ドイツのハーグ歌劇場、カールスルイエ歌劇場等との専属契約、各劇場で多くの舞台で研鑚を積み、2004年ソウルでの「ルチア」も絶賛された。朗々たる響きを持つ、貴重な声質で、次代を担う韓国若手歌手として注目される。

 「声楽を専攻していた母の影響で、幼いころから母の独唱会準備、学生とのレッスンなどを見ながら育った。母が収集していたオペラのレコードを徹夜で聞いたりした。教会の聖歌隊で活動後、本格的に声楽を学んだ。オペラは音楽を通した観客との呼吸だ。音楽は世界の共通語。今回の公演も、音楽を通じて日本の観客と一つになるチャンスだと考えている」

 「経済的交流は利益追求が重要なので、友好的交流の意味が低くなる場合がありえる。だが文化芸術交流は、韓日のみならず世界全体を一つのパートナーとする交流だ。何より政治経済的な交流の限界を、文化芸術の交流が克服する役割を演じられると信じている。韓日の文化交流が発展すると信じている」


 ◆感動的な舞台を作る ――バリトン・石常根(ソク・サングン)

 韓国の南部、大邱の嶺南大学を卒業後、イタリアのピエトロ・マスカーニアカデミーで学び、直ちにイタリア国内でオペラ歌手として活躍を始める。これまでローマ歌劇場でのリゴレット、トッレ・ディ・ラーゴにおけるプッチーニフェスティバルでの「蝶々夫人」(シャープレス役)などで成功を収めている。そのドラマティックかつノーブルな歌は、「声も歌の佇まいも、若いときのカップッチッリ」と評されている。
 
 「高校時代、声楽を勉強していた友人が私の歌音を聞いて声楽をしてみないかと言ってくれたのがきっかけ。声楽が大好きで、その熱情が厳しい練習を耐えさせてくれた。今回の公演は日本デビューとなるが、感動的な舞台になるよう最善をつくしたい。韓日の音楽交流を通じて両国が近くなるきっかけになったらと願う」


 ■歌劇「イル・トロヴァトーレ」は25日午後3時、東京・渋谷のオーチャードホールで上演される。主演はイタリアが誇る世界的なメゾソプラノ、フィオレンツァ・コソット。ニコレッタ・コンティ指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。S席10,000円、A席5,000円ほか。℡03・5388・9990。