ここから本文です

2007/09/14

<韓国文化>オーケストラ通しアジアを"体感"

  • bunka_070914.jpg

      期待の若手ピアニスト・キム・ソヌク(撮影・Bon-Sook koo)

  • bunka_070914-2.JPG

             指揮のチャン・ユンスン

 アジア環太平洋地域の代表的なオーケストラが集う「アジアオーケストラウィーク2007」(第6回)が、10月2日から4日まで東京と大阪で開催される。韓国からは名門KBS交響楽団が登場。19歳のピアニスト、キム・ソヌクとともに演奏を行う。同フェスティバル事務局の新実美南子さんに文章を寄せてもらった。

 文化庁主催のオーケストラの祭典、「アジア・オーケストラ・ウィーク2007」。今年で6回目を迎える同フェスティバルは、アジアと環太平洋各国から代表的なオーケストラを招いて開かれるもので、これまでに13カ国、26のオーケストラが来日している。2002年の第1回目から欠かさず参加してきたのは中国そして韓国。ともに国際的に活躍する演奏家を多く擁してきたが、オーケストラの分野においても近年急成長を遂げつつあり、多くの注目に値するオーケストラが存在する。

 韓国のプロのオーケストラの数は現在30近くあるといわれる。その中から2002年プチョン・フィルハーモニック、スウォン・フィルハーモニック、ソウル・フィルハーモニック 、テジョン・フィルハーモニック、そして昨年は韓国交響楽団が来日。いずれのオーケストラも高いレベルの演奏を日本の聴衆に披露してきた。

 今回登場するKBS交響楽団は、韓国国営放送KBSを母体に1956年に誕生したオーケストラ。実力や性格から日本のNHK交響楽団と比較されるところもあり、ワールドカップ韓日共同開催の年である2002年には、KBS響が東京と大阪、NHK響はソウルでそれぞれ演奏会を開き、音楽親善のエールを交わした。

 今回、指揮のチャン・ユンスン氏はソウル大学で最初に作曲を、後に指揮を学び、ウィーン国立音大とロシアでも学んでいる。作曲では95年ポーランド・クラコフでペンデレツキ作曲の交響曲第5番“KOREA" (韓国政府委嘱作品)のヨーロッパ初演で大成功をおさめた。国際プロコフィエフ指揮者コンクール2位入賞、また97年に東京国際音楽コンクール<指揮>で1位なしの2位入賞。これをきっかけに日本のオーケストラでの客演、またロシア、イギリス、カナダ、アメリカでコンサートやオペラ、バレエの指揮で活躍している。

 自国期待の若手ソリストとの共演がこのフェスティバルの特徴のひとつ。今回共演するキム・ソヌクさんは昨年、世界的なピアニストを輩出してきた英国のリーズ国際コンクールにアジア人で初、最年少(18歳)で優勝。今もっとも注目される若手ピアニストの一人だ。

 世界的にも韓国のピアニストの質の高さはよく知られているが、このキムさんの活躍は抜きん出ており、さらに国内でのみ学んで栄冠を手にしたピアニストとしても話題となった。今回の来日で初めてその才能が明らかにされる。音楽ファンならずとも彼の将来には注目していて欲しい。

 KBS響の演奏曲目は「アリラン」の管弦楽版、キムさんの得意とするショパンの「ピアノ協奏曲第1番」ほか。

 KBS響とともに参加するのは中国・雲南省の昆明交響楽団、そして今年初めて実現したインドとスリランカの合同オーケストラだ。昆明響は中国の京劇をもとにした交響詩「女将軍 ムー」、インド=スリランカ響は「ピアノと民族太鼓、オーケストラの協奏曲」が聞きものである。

 各国のオーケストラとそこで奏でられる音楽は、ときに今のアジアの在り様をさまざまに映し出す。このフェスティバルを通して、オーケストラを通して、豊かで多様なアジアを“体感”して欲しい。(アジア・オーケストラ・ウィーク広報担当 新実美南子)

■アジアオーケストラウィーク2007■

東京公演

  10月2日 韓国・KBS交響楽団
  10月3日 中国・昆明交響楽団
  10月4日 インド=スリランカ交響楽団

大阪公演

  10月3日 韓国・KBS交響楽団
     
*開始はいずれも午後7時

会  場

 東京=オペラシティコンサートホール
 大阪=ザ・シンフォニーホール

入 場 料

 S席3,000円、A席2,000円ほか。

問い合わせ

東京℡03・5610・7275
大阪℡06・6341・8116