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2008/08/15

<韓国文化>韓日でつくろう音楽の"シルクロード"

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    韓国の伝統楽器が未来への調べを紡ぎだす

 音楽劇「東風~もう一つのシルクロード」が、10月4日、東京の「昭和女子大 人見記念講堂」で開かれる。在日2世の音楽家、康明姫さんが総合プロデュースする企画で、在日コリアン、そして韓日中の俳優やアーティストたちが、東方から風を起こし、未来へと続くもう一つのシルクロードを舞台に描き出す。康さんに文章を寄せてもらった。

 「東風~もう一つのシルクロード」ではアジア文化をより多くの方々に紹介し、隣人国同士の文化交流、そしてなによりも平和へのメッセージをこめて企画した。無数の人々が夢や希望を抱き進んだ道は今もなお私たちの心の中にあるはず。その心を感じてほしい。

 先祖の足跡シルクロード、韓国語で「ピダンキル(絹の道)」。遠くへ続くその道では、あたかもシルクを紡ぐように様々な人たちが歴史を作り上げ、そして広がって行ったに違いない。

 今回の舞台では、実在する新羅の僧侶ヘチョと、高句麗の遊民の息子高仙芝将軍を描写しながら、韓半島がシルクロードとどのように関わったかを表現した。日本で生まれ育った私が、いま一度自身の民族の歴史を舞台で表現する事により、まだ広く知られていないわが国の歴史を発信する契機になればとの気持ちを込め、今回の企画をプロデュースした。

 本公演は日本、韓国、在日KOREANなどアジアの一流の創作家や音楽家、俳優、舞踊家で構成され、音楽、舞踊に朗読劇を組み合わせた叙事詩的なステージを創作、上演する。シルクロードの周辺国である韓半島、日本から出演者や脚本、作曲、振り付け、衣装、舞台美術など一流のアーティストたちを揃え、印象的でエンタテイメント性溢れる舞台を繰り広げるとともに、平和へのメッセージを全世界に発信する。

 また、俳優の荻野目慶子さん、清水幸治さんに道案内として登場していただき、多彩な演技が繰り広げられるなか、アジア文化の交流と共に、オリジナリティーあふれる舞台をめざす。

 韓国からは、キム・ジャンウさんひきいるWOOダンスカンパニーと、パンソリの大家アン・スクソンさんの数少ない弟子の一人であるパク・ミンジョンさんを招いた。WOOダンスカンパニーは、若い舞踊家を中心に結成された団体で、伝統舞踊を基本(土台、軸)に創造性豊かな舞踊を演出し、国内外で活躍している。今回も、自国の文化を大胆に披露していただけどろう。

 西からの風に星が舞い、東から吹く風に砂がうたう・・・・・・。そこには当たり前の人たちの出会いがあったに違いない。シルクロードに築かれた道はない。それは、言葉や文化、人種や風習の違う人たちが互いを認め、理解しあう過程で一つの道になったのだ。

 悠久のロマンなどという言葉では言い表せないほど、歴史の人々の歩みがあるシルクロード。それは今も続いている。人が希望を忘れずにこの道を歩くなら、そこには自由と幸せがあるに違いない。そんな思いをこめて今回の公演を準備した。ぜひ、一人でも多くの皆様に見ていただきたい。

 歌い踊りながら、苦悩にあえぎながら、念仏をとなえながら、生きる喜びを見つけるために民はその道を行く。シルクロードは「人それぞれの道」なのだと私は思う。

 音楽は邦楽器と韓半島民族楽器、西洋楽器のアンサンブル。ダンスは韓国の伝統及び創作舞踊。様々な要素が相乗効果を伴い、現代の吟遊詩人である出演者がかなでる、斬新かつなつかしい「叙事音楽詩劇」にご期待いただきたい。

■東風~もう一つのシルクロード■

日程:10月4日午後2時と午後6時
場所:昭和女子大・人見記念講堂
主催・同公演実行委員会
後援:東洋経済日報社ほか
料金:S席前売り5500円、当日6000円ほか
℡0570・02・9999(チケットぴあ)


  カン・ミョンヒ 在日2世。90年日本で初めての在日による民族楽器重奏団「民楽」を設立。米、ロシアでの演奏会を実現。今公演の総合プロデュースを担当。