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2009/01/01

<韓国文化>佐々木直子先生の韓国正月料理

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    牛テールのトックッ

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    ささき・なおこ 東京外国語大学朝鮮語科卒業。「KOREAN COOKINGジョン・キョンファスタジオ」勤務を経て現在、フリーで韓国料理に関する翻訳・執筆を行う。訳書に『韓国料理文化史』(平凡社・共訳)。『わが家で作れる! 韓国おなじみレシピ』(小学館)など。

 韓国のお正月料理といえば、やはりトックッ(餅スープ)。日本のお雑煮もそうですが、韓国のトックッも地方により家により材料、作り方はさまざまです。

 トックッとお雑煮の一番ちがうところは、トックッに入れる餅は、もち米ではなくうるち米でできていて、のびないこと。トックッ用の餅は「カレトッ」といって、うるち米を水につけて粉に挽き、蒸して搗いて細長く棒状にのばしてから斜め切りにした餅で、一切れが硬貨のように小さな楕円形で、噛めばぷつりと噛み切れるのが特徴です。

 またトックッは、スープのとり方によって味が大きく分かれます。スープは牛や鶏、最近では煮干しや昆布でもとるようですが、やはり韓国料理のスープといえば、牛。その中でももっともオーソドックスなのが「ヤンジモリユクス」といって、牛スネ肉を煮出したスープ。黄金色に透明なヤンジモリユクスは、さっぱりと上品な味で、宮中料理や班家(パンガ)料理(両班(ヤンバン)=伝統的な上級家門の家庭料理)の基本となるだし汁でもあります。

 澄んだ上品なヤンジモリユクスに対して、庶民的な白濁スープが「サゴルクンムル」。「四骨(サゴル)」とは牛の大腿骨をはじめとする足骨のことで、これを長時間グツグツと煮込むと、とろりと白っぽく濁った、独特なコクのあるスープがとれます。また、サゴルクンムルはコムタンやソルソンタンなど、牛肉片や麺の入った庶民的なスープを作るのにも使われます。

 そしてもうひとつ、少々珍しいですが、牛テールを煮込んだスープでトックッを作る方法もあります。これも白濁スープのひとつで、餅を入れなければいわゆるテールスープ「コリコムタン」になります。牛テールを使うと、サゴルとはまたちがった独特な風味が出ますし、テールの骨からぽろりととれる肉もまた味わい深いものがあります。

 煮込むのに少し時間はかかりますが、テールは冷凍状態で意外に多く出回っているので、ぜひ一度挑戦してみてください。

◇牛テールのトックッ◇

<材 料>(約4人分)
・牛テール    1㌔
・水       3㍑
・酒       1/2カップ
・トックッ用の餅 500㌘
・卵       1個
・長ねぎ     1/2本
・切りのり    少々
・薄口しょうゆ  大さじ1

A 塩      少々
  こしょう   少々
  ごま油    少々
  薄口しょうゆ 大さじ1

B おろしにんにく 少々
  塩       適量
  すりごま    少々
  粗びきこしょう 少々


<作り方>
①牛テールは洗って深めの鍋に入れ、水3㍑を注いで強火にかける。沸騰したらアクをとって酒を加え、蓋をして弱火で約2時間コトコト煮る。

②トックッ用の餅は水につけ、くっついていれば1枚ずつはがしておく。

③卵は塩少々を加えて溶きほぐし、薄焼き卵を作ってせん切りにする。長ねぎは斜め薄切りにする。

④①のテールが十分に柔らかくなったら、引き上げて骨から肉をはずしてほぐし、Aで和えて下味をつける。

⑤①のスープを火にかけてBで味つけし、餅を入れて煮る。餅が柔らかくなったら長ねぎを加え、一煮立ちしたら火を止める。

⑥器によそって④の肉と錦糸卵、切りのりをあしらう。好みですりごまやブラックペッパーをふっていただく。

*錦糸卵を作るかわりに、⑤で溶き卵を流し入れてもよい。