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2010/01/15

<韓国文化>日本映画の監督に挑む

  • 日本映画の監督に挑む①

    イ・ジェハン 1971年韓国ソウル生まれ。12歳で米国に渡り、ニューヨーク大学で映画を専攻。長編2作目となるラブストーリー『私の頭の中の消しゴム』が、韓日で大ヒット。次回作はアクション映画を予定している。

  • 日本映画の監督に挑む②
  • 日本映画の監督に挑む③

    キム・テギュン 1960年韓国ソウル生まれ。87年韓国外国語大学校政治学校卒業。88年韓国映画アカデミー卒業。96年『バクボンゴン家出事件』で長編デビュー。代表作に『火山高』『オオカミの誘惑』など。

  • 日本映画の監督に挑む④

 日本映画に挑む韓国人監督が増えている。『サヨナライツカ』の李宰漢(イ・ジェハン)監督と『彼岸島(ひがんじま)』の金泰均(キム・テギュン)監督に話を聞いた。

 日本の小説を映画化した前作『私の頭の中の消しゴム』が、韓国で260万人、日本でも300万人動員する大ヒットを記録し、一流監督の仲間入りを果たした。

 今回は日本の作家、辻仁成の原作『サヨナライツカ』の映画化に挑戦。タイで長期ロケを敢行し、25年に及ぶ男女の愛の軌跡を追った。

 「原作を読んですぐに映画化を考えた。(私の頭の中の消しゴムのように)韓国人俳優による映画化という案もあったが、この小説の背景や登場人物のアイデンティティーは日本文化のものなので、日本の俳優を使って日本語で描くべきと考えた。撮影現場では韓国語、日本語、英語が飛び交いコミュニケーションに苦労したが、良い映画を作りたいという思いでみんなが結びついた。映画造りに国境は無いことを再認識した」

 ヒロインの真中沓子には、辻仁成の妻で女優の中山美穂が扮している。主演映画『Love Letter』が韓国でもヒットし、韓国の映画ファンにも親しまれている。12年振りの映画出演で激しいラブシーンにも取り組んだ。

 「中山さんとは一つ一つのシーンを深く話し合いながら撮影に臨んだ。この映画はラブシーン無くして成り立たない。こちらの注文によく応えてくれた。また相手役の西島秀俊さんは内にいろいろな力を秘めた俳優で、それを引き出すことに力を注いだ」

 「撮影で大変だったのは、タイの暑さ。それとマンダリン・オリエンタル・バンコクホテルとの撮影交渉だ。約130年の歴史を持つアジアを代表する最高級ホテルで、撮影許可を得た後も、装飾の美しさを見せるためアングルなどに苦労した」

 映画は23日に日本、今春には韓国でも公開される。

 「一回限りの人生を大切にすること、愛の尊さと、人生の答えを見出すための努力、それらを映画から感じてほしい」


 韓国の高校を舞台にしたアクション映画『火山高』や、脱北者の苦悩を描いた『クロッシング』など、話題作・ヒット作を連発してきた。新人俳優の才能を見出す手腕も定評がある。その力量を見込まれて、日本の漫画雑誌「ヤングマガジン」に連載されている人気漫画『彼岸島』(松本光司作)の映画化を依頼された。

 行方不明の兄を探して吸血鬼が住む離れ小島に乗り込んだ男子高校生とその友人たちが、吸血鬼集団と死闘を繰り広げるホラー映画だ。石黒英雄、水川あさみ、山本耕史などの若手俳優が出演している。

 「韓国では、吸血鬼をテーマにした映画はほとんどない。日本では吸血鬼の作品が何本もあるので、一度は手がけたいジャンルだった。日本映画もこれまでたくさん観て、日本文化に一定の理解を持っていたので不安は感じなかった」

 「韓日合作映画はこれまでも作られているが、両方の文化をぎごちなく融合させたので失敗した例が多い。私は日本映画を作るという前提で取り組み、そのためにスタッフも役者もみな日本人で構成し、新人監督のつもりで撮影に臨んだ。韓国で行ったのは最後の仕上げだけだ。場面展開の速さだけが韓国的だ」

 離島での撮影には苦労したという。

 「昼と夜で温度差が激しく、トイレの場所も限られている。特に女優さんたちは大変だったと思う。しかし、そんな中でも日本のスタッフと俳優の熱心さ、経験の豊富さ、プロ意識には本当に感心させられた。韓日はもっと文化交流を深める必要がある。そこから多くのことを学び合えるだろう」

 次回作は東ティモールサッカー少年と韓国人コーチの物語で、5月に韓国で公開予定だ。

 「サッカーを通して異文化理解と平和を訴えた作品。日本でも公開されることを願っている」