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2010/11/05

<韓国文化>白南準、姜秀珍の素顔伝える

  • 白南準、姜秀珍の素顔伝える①

    自作「多々益善」の前で微笑む白南準氏(李恩周氏撮影)

  • 白南準、姜秀珍の素顔伝える②

      独シュツットガルトバレエ団のプリマ姜秀珍氏㊧(崔シネ氏撮影)

  • 白南準、姜秀珍の素顔伝える③

       脳梗塞で倒れ車椅子生活となった白南準氏㊨と看病する
       妻の久保田成子さん

  • 白南準、姜秀珍の素顔伝える④

    李恩周さん㊨と娘の崔シネさん

 世界的なビデオアーティスト白南準(ペク・ナムジュン=ナムジュン・パイク)の作品と日常生活を撮り続けた写真家、李恩周さん(イ・ウンジュ、65)と独シュツットアルトバレエ団のプリマ姜秀珍の姿を撮り続けている崔シネさん(チェ・シネ、34)の母娘写真展がこのほど、都内で開かれた。「韓国の一流芸術家の魅力を世界に伝えたい」と語る二人に話を聞いた。

李恩周さんは韓国の芸術家たち、クラシックの音楽家、伝統舞踊家、バレリーナなどの写真を長年撮り続けてきた。81年には韓国国立舞踊団の撮影で大統領賞を受賞するなど、韓国女性写真家の草分け的存在として活躍している。

 「撮影するときは、対象となる芸術家を理解し、愛し、その内面を浮き彫りにすることに神経を注いできた」

 その李さんが特に力を入れたのが、 前衛的かつ実験的な作品で有名な、韓国を代表するビデオアーティストの白南準だ。ビデオアートを芸術ジャンルに編入させたビデオ芸術の創始者と呼ばれる世界的に著名な作家で、2006年1月に米国で亡くなった。

 李さんはその白さんを80年代初頭から撮影してきた。

 「世界が認めるビデオアーティストの作品を、私の手で撮影してみたかった。一番最初に会ったのは、白さんがピアノを壊すパフォーマンスの練習をしていた時だった。複数のカメラマンが撮影していたが、気が散るので舞台から降りろと怒鳴られ、みんな降りたが、私は一人舞台に残って撮影していた。それが印象に残ったのか、その後、撮影を許されるようになった」

 「とても気難しい人だったが、次第に打ち解け、アトリエにも出入りを許されるようになった。夫人の久保田成子さんとも親交を深めていった。白南準の功績をどう記録するか、そこに神経を注いだ。96年に脳梗塞で倒れてからは人を遠ざけていたが、リハビリを続ける姿を撮らせてくれたことは忘れられない」

 来年、李さんはニューヨークの韓国文化院で白南準回顧写真展を開く予定だ。

 崔シネさんは、高校生の頃から母の撮影を手伝い、カメラマンとしての修行をしてきた。そして姜秀珍に注目する。姜秀珍は、スイスのローザンヌバレエコンクールで東洋人で初めて1位入賞。その後東洋人として初めて独シュツットガルトバレエ団に入団、現在プリマとして活動している。完璧な表現力と、纎細なテクニックが特徴の世界トップクラスのバレリーナだ。崔さんはその撮影を許可され、写真家としての第一歩をスタートした。

 崔さんは「姜秀珍さんは謙虚な人柄で、芸術に真摯な人。その姿を出したいと思った」と話す。

 李恩周さんは、「写真家は神経を使う仕事であり、重い機材を担ぐので体力的にも大変と心配したが、私とは違う感覚の写真を撮るのをみて、楽しみに思っている。二人で写真の道を歩み続けたい」と語る。