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2011/08/05

<韓国文化>隣国の文化に熱狂した民衆

  • 隣国の文化に熱狂した民衆①

    朝鮮紀聞(江戸時代後期の写し) 朝鮮通信使の楽人たち。街角でも演奏して人々を楽しませた

  • 隣国の文化に熱狂した民衆②

    朝鮮通信使行列絵巻(江戸時代中~後期) 今にも動き出しそうな朝鮮通信使の行進。金箔をちりばめ豪華な絵巻物に仕上げられている。この作品は裕福な人々の特注品と考えられる

 佐賀県立名護屋城博物館(佐賀県)でテーマ展「江戸時代の“韓流ブーム”」が開催中だ。同館所蔵の朝鮮通信使に関連するコレクションを一堂に展示している。廣瀬雄一・同館学芸員に文章を寄せてもらった。

 朝鮮通信使は、朝鮮国王が江戸幕府の将軍に派遣した公式の外交使節で、江戸時代に計12回来日した。使節団は、朝鮮国高官のほか、一流の学者や画家・医官・楽隊なども同行し、総勢300~500人という大規模なものであった。

 通信使が通過する街道には、珍しい異国の行列を見物しようと、多くの人びとが集まり、華やかに着飾った通信使一行の行列に目を見張ったり、通信使の楽員が奏でる曲を楽しんだりした。また、海外の知識や珍しい書画を手に入れようと、競って通信使の宿舎に押しかけ、夜通し筆談したり、漢詩の交換などを行なったりする者もいた。

 そのような通信使に対する当時の熱気は、隣国の文化に対する民衆の興味・関心の現れであり、それは「韓流ブーム」と称される今日の韓国大衆文化の流行にも通じるところがある。

 同テーマ展では、時代が異なっても人々に共通する異国の文化に対する好奇心や興味に着目し、通信使の来日を巡って巻き起こった当時の熱狂と、それを取り巻く人々について紹介している。出品資料の中から、2点選んで紹介したい。

◆朝鮮紀聞(ちょうせんきぶん)◆

 正徳元年(1711)の通信使として来日した通信使一行の様子を詳細に、色彩豊かに描写・記録した40丁からなる「図説」である。

 まず、通信使の持つ清道旗などの旗類や鳥銃・弓矢・剣などの武器類、楽器類、三使(正使・副使・従事官)正使の輿と国書の輿、様々な道具類、ついで通信使一行の服装、武器や楽器を手にした姿、馬上才による馬に乗った曲芸の様子が色彩豊かに描かれている。

 通信使の持ち物については、寸法まで正確に書き込まれていて、本図の制作者は、通信使やその服装や持ち物に非常に興味を持っていたと考えられる。

 写真上の右側には、絃・鼓・笛等を演奏する楽員の姿、左には下官たちが米俵を担いだり、鶏や大根を持っている姿が表され、彼らの見せた一瞬の表情が表情豊かに描かれている。

◆朝鮮通信使行列絵巻(ちょうせんつうしんしぎょうれつえまき)◆

 大きくて良質な紙が使われ、金粉が施されるなど豪華に作られている。通信使一行の描写は、写実的で躍動感がある。いつの時期の通信使か、作者は不明であるが、優秀な絵師を雇用することのできる富福層の人の注文によって作成されたものと考えられる。

 巻頭には「ちやうせん人ことは(朝鮮人言葉)」と題して、日本語の朝鮮語(韓国語)訳が付いている。これに続いて63人の案内役の日本人と、65人の通信使の一行の姿が描かれている。行列図の要所では金紙で「青道旗」「楽人」「小童」「書簡の輿」「正使」などの説明が付けられている。


■名護屋城博物館テーマ展・江戸時代の”韓流ブーム”

日時:開催中(9月19日まで)
場所:佐賀県立名護屋城博物館
   *佐賀県唐津市
料金:無料
電話:0955・82・4905