ここから本文です

2014/07/18

<韓国文化>韓流シネマの散歩道 第5回 韓流ハッピーエンドとは                                       二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

  • 韓流シネマの散歩道 第5回 韓流ハッピーエンドとは①

    『猟奇的な彼女』 クァク・ジェヨン監督

  • 韓流シネマの散歩道 第5回 韓流ハッピーエンドとは②

    『僕の彼女を紹介します』 クァク・ジェヨン監督

  • 二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

    たむら・としゆき 1941年京都生まれ。一橋大学卒。東京都立大学経済学部教授、二松学舎大学教授などを経て現在は二松学舎大学客員教授。

◆伝統的な価値と秩序捨てず◆

 メロドラマとはもともと、楽器伴奏のついた音楽劇を指す言葉だった。だが、その今日的な用法を説明しようとすると、これが意外に厄介である。ただ、定義はともかく、その特徴を列挙せよといわれれば、メロドラマがセールス・ポイントとしているあれこれの要素を、容易にあげることができる。

 出会い、別れ、すれ違い、その他もろもろの諸要素を一括して、ここでは「涙の情緒」とよんでおこう。うれし涙、悲嘆の涙、そして前回触れたオモニの血の涙も、観客の情感を揺さぶる情緒的基礎であり、メロドラマの核心的要素となる。

 いうまでもなくメロドラマは、日本や韓国の専有物ではなく、洋の東西で古くから愛用されてきたドラマの一形式である。ただ韓国では、この形式による映画を「新派」ものと呼んできたらしい。日本語の新派・新劇・新喜劇などの呼称からの流用だが、新派劇の映画化と考えると、たしかにメロドラマのイメージが作りやすくなる。


つづきは本紙へ