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2018/11/09

<韓国文化>ハードロックの韓日交流に関心を

  • ハードロックの韓日交流に関心を

    韓国5人組バンド「THE HY$TERIC 」
    (2015年の来日公演時、左から2人目は著者)

 70年代から現在に至る韓国ハードロックについてまとめた「デスメタルコリア 韓国メタル大全」(水科哲哉著、パブリブ)がこのほど出版された。水科さんに話を聞いた。

 韓国のハードロックとヘヴィメタルの歴史は。

 86年にSINAWE(シナウィ)、白頭山(ペクトゥサン)、復活(プファル)という正統派バンド3組が韓国で相次いでレコード・デビューした。彼らを韓国ヘヴィメタルの「御三家」と見なすならば、93~94年に結成もしくはデビューしたN・EX・T(ネクスト)、CRASH(クラッシュ)、DIABLO(ディアブロ)の3組を「新御三家」と見なせるだろう。

 実は、ソテジワアイドゥルとして90年代に一世を風靡したソ・テジは、元々SINAWEのベーシストだった。06年にチェ・ジウが出演したTBSドラマ『輪舞曲―ロンド』のエンディング曲を歌ったイ・スンチョルも、元々は復活の初代ボーカリストだった。

 こうして見ると、韓流/K-POPとハードロック、ヘヴィメタルがコラボレーションした事例は過去いくつもあるのに、残念ながらたいていの日本人が最初に連想する韓国のポピュラー音楽はK-POPだ。そんな現状に一石を投じるべく、このたび『デスメタルコリア 韓国メタル大全』を執筆した。

 韓国ハードロックの現状は。

 ヘヴィメタルという音楽ジャンルは、時代の変遷に合わせて他の音楽ジャンルとの混交を繰り返しており、現在は50~100あまりの派生ジャンルが存在すると言われている。大勢の現地在住ミュージシャンに取材したところ、韓国のヘヴィメタル界でそうした細分化が生じた時期は95年頃という証言が得られた。さらに、98年の日本文化の段階的開放を境に、韓国の若者達が聴ける音楽の幅が広がり、そのことも韓国のヘヴィメタル、ハードロックの多様性を促したという証言もある。

 実際に90年代末から、日本発の音楽文化であるビジュアル系を志向する韓国人バンドも少数派ながら登場しており、日本で流行のロックバンドから影響を受けたことを公言する韓国の若手ミュージシャンも少なくない。

 著書で強調したかった部分は。

つづきは本紙へ