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2003/04/19

<トピックス>故高円宮殿下が見た韓国 -第7回-

  • 高円宮妃殿下

                     高円宮妃殿下

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    李王家に嫁いだ李方子さまが晩年まで住まわれた楽善斎(ソウル・昌徳宮)

◆ 楽善斎と李方子さま ◆

 李王家に嫁いだ李方子さまが晩年まで住まわれた楽善斎(ソウル昌徳宮・写真:上)

 仁政殿から5分程奥に入ったところに楽善斎という建物があります。本来皇太后さまのお住まいとして1847年に建設されたものだそうですが、梨本宮家から朝鮮王朝最後の皇太子さま李垠殿下に嫁がれた李方子さまが、1989年に逝去されるまでお過ごしになったところです。

 私たちはそこで最後まで方子さまのお側でお仕えした女官さんのお話を聞く事ができました。87歳でお亡くなりになるまで、毎日9時には事務所にいらっしゃり、韓国の人々の為になるよう一生懸命お働きになられたこと、また常に日韓の架け橋になろうというお気持ちを強く持っていらしたことなど話してくれました。

 また方子さまは知的障害者施設の明暉園をはじめ、様々な福祉活動を長年続け多くの韓国国民に慕われた方です。翌日安山市にある明暉園を訪れ、御一緒に活動をつづけてきた方達にもお目にかかりました。宮様は施設の若者が電機部品の組み立てや衣服縫製などの職業訓練をしている姿を熱心にご覧になり、にこやかに話しかけていらっしゃいました。

 また、身体障害者の別棟で機械を使って洋服を編んでいる数人の女性にと会いましたが、その内の一人は小さい頃から方子さまにたいへん可愛がっていただいたと懐かしそうに言っていました。
 
 明暉園には両殿下のブロンズと方子さまの御遺品などが展示されている記念室があります。その壁一面に書や墨絵のお額がいくつも飾ってありました。方子さまは「和」という字を好んで書いていらっしゃいましたが、このたび御生活ぶりを存じ上げている方のお話を伺い、その言葉の持つ重みを改めて考えさせられました。(高円宮妃殿下・写真:下)。