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2014/10/31

<トピックス>切手に描かれたソウル 第49回 朝鮮ホテル100周年                                                   郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究。

  • 切手に描かれたソウル 第49回 朝鮮ホテル100周年①

    開業から間もない朝鮮ホテルの絵はがき

  • 切手に描かれたソウル 第49回 朝鮮ホテル100周年②

    ホテルの封筒で1929年に出された郵便物

◆初の西洋式ホテル、朝鮮総督府が威信かけ建設◆

 朝鮮半島初の西洋式ソウルとして、1914年10月10日に朝鮮ホテル(現ウェスティン朝鮮ホテル)が開業してから、今月でちょうど100周年になった。

 旧朝鮮王朝時代、ソウルには西洋人を対象にした西洋式のホテルは存在していなかった。このため、1910年に朝鮮統治を開始した日本の総督府は、諸外国からの賓客に対応すべく、西洋式ホテルの建設を計画する。

 建設用地としては、1897年に朝鮮国王だった高宗が大韓帝国皇帝として即位する際に祭天が行われた圜丘壇の敷地があてられることになった。鉄道の京城駅(現ソウル駅)から近いというロケーションに加え、日韓併合により、新たな皇帝が即位する可能性がなくなったと考えられたためである。

 写真上は、開業後まもない時期の朝鮮ホテルを取り上げた絵葉書だが、画面の右側には、旧圜丘壇の敷地内にあった楼閣、皇穹宇(現在でもホテルの敷地内に残されている)が見える。また、画面の手前には旧圜丘壇の名残と思しき石段も残っており、往時の様子が偲ばれる。


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