ここから本文です

2014/11/14

<トピックス>私の日韓経済比較論 第45回 法人減税と税収増を両立させた韓国                                                    大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、00年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授。

◆身より名をとった韓中FTA◆

 APEC首脳会合が開催された北京で10日、韓中FTAが実質的に妥結された。今後は署名、国会における批准、発効といった手続きを経るが、韓中FTAが発効すれば韓国の経済領土(世界全体に占めるFTA締結国のGDPの割合)は世界第3位の73・2%となる。

 韓中FTAの特徴は自由化率が低いことであろう。発効から10年以内に関税が撤廃される品目の比率は、韓国側が品目数ベースで79%、輸入額ベースで77%、中国側がそれぞれ71%、66%である。

 また20年以内で見れば、韓国側が品目数ベースで92%、輸入額ベースで91%、中国側がそれぞれ91%、85%となる。2013年9月に合意された自由化率が、品目数基準で90%、輸入額基準で85%であった。

 逆に見れば、関税を撤廃しない品目は、品目数基準で10%、輸入額基準で15%に限ると合意されていたわけであるが、特に中国は自由化例外枠を最大限利用したと言える。


つづきは本紙へ