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2014/07/11

<トピックス>張相秀の経営コラム 第2回                                                          張 相秀・サムスン経済研究所諮問役、亜細亜大学特任教授

  • 張 相秀・サムスン経済研究所諮問役、亜細亜大学特任教授

    チャン・サンス 1955年韓国生まれ。慶応義塾大学経済学修士、同商学博士。一般財団法人日本総合研究所専門研究員、サムスン経済研究所人事組織室・室長などを経て、現在は亜細亜大学特任教授。

  • 張相秀の経営コラム 第2回①
  • 張相秀の経営コラム 第2回②
  • 張相秀の経営コラム 第2回③

◆国家の競争力は企業の競争力から出る◆

 前回に述べたとおり、安倍政権は日本企業の国際競争力を強めるために多岐にわたる成長戦略を力強く打ち出している。これらの政策は確実に日本の企業の輸出価格競争力を強くし、好循環の軌道に乗れば、日本の財政健全化などにも寄与するであろう。しかし、安定的な好循環の軌道に乗るためには、日本の企業の「真の競争力」すなわち、価格競争力よりは非価格競争力の回復あるいは強化がもっと必要である。

 過去の四半世紀を振り返ってみると、「失われた20年」という自嘲的な言い方が聞かれるほど、日本経済のパワー(競争力)は弱まり、世界からの評価も落ちてきた。たとえば、IMD(国際経営開発研究所、スイス所在)の国家競争力をみると、(表①)のように、日本は94年の3位から2000年に21位、10年には27位まで凋落した。その後、回復勢をみせて14年には21位にランクされている。一方、韓国の競争力は低水準であるが、同期間中、日本ほどの大きな騰落は見せていない。

 また、各国におけるビジネス環境をみると、(図①)のように、韓国は李明博政権(08~12年)の時、30位から8位まで上昇したが、日本は12位から24位まで下落した。その原因は、価格競争力よりはビジネス関係の許認可などの非価格的なバリア(障壁)が問題点として指摘されている。グローバルスタンダードの観点から見て、日本は行政改革や規制緩和が必要である。民間企業も日本的経営や商慣習について、根本的な見直しと意識改革などが行われるべきである。以上のように、マクロ経済面では依然として日本が韓国より強い競争力を持ち続けているが、バブルがはじけた90年から2010年までをみると、日本だけが大幅に国家競争力を落としている。その結果、日韓のギャップはかなり縮まったのも事実である。この背景には、日本の代表的な大手企業の国際競争力やグローバル評価の凋落と密接な関係にある、と思われる。例えば、韓日両国の代表的な企業の評価を見ると、(表②)のように、去る十数年間、ランクが大きく変わっている。


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