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2014/11/28

<トピックス>切手に描かれたソウル 第50回 「韓紙」の切手                                                   郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究。

  • 切手に描かれたソウル 第50回 「韓紙」の切手

                韓紙で作られたアリランの切手

◆丈夫で耐久性に優れた「韓紙」◆

 「和紙 日本の手漉和紙技術」が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産として正式に登録されることが決まった。

 日本における製紙技術は、一般に、西暦7世紀、高句麗から渡来した僧・曇徴によってもたらされたとされている。

 韓紙も和紙も、本来は楮を主原料としている。また、手漉きの紙の漉き方は、簀桁と呼ばれるスクリーンで紙料液(原料を溶いた液)をすくい、縦横に動かし繊維を絡みあわせて紙を作る〝流し漉き〟と、紙料液を簀桁の上に溜め、水分が自然に落ちるのを待つ〝溜め漉き〟の2種類に大別されるが、流し漉きの製法で作られるのは基本的に和紙と韓紙のみである。

 したがって、これだけみると、韓紙こそが和紙のルーツであると考えがちだが(実際、そのように説明している韓国人は少なくない)、話はそう単純ではない。

 和紙の場合、流し漉きで漉いた紙は原則として1枚のみを完成させれば完成品となる。


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