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2017/02/03

<トピックス>韓国労働社会の二極化 第20回 韓国の労使関係③「労働組合の組織再編」                                                    駿河台大学 法学部 朴 昌明 教授

  • 駿河台大学 法学部 朴 昌明 教授

    パク・チャンミョン 1972年兵庫県姫路市生まれ。関西学院大学商学部卒。関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了。延世大学大学院経済学科博士課程修了。現在、駿河台大学法学部教授。専攻分野は社会政策・労働経済論・労務管理論。主な著作に「韓国の企業社会と労使関係」など。

  • 韓国労働社会の二極化 第20回 韓国の労使関係③「労働組合の組織再編」

◆中小企業労働者や非正規雇用労働者の組織化必要◆

 韓国における労働組合の中心的な組織形態は日本と同じく企業別組合である。韓国と日本の企業別組合には類似点と相違点が存在する。

 日本の場合、企業別組合を基盤とする労使協調が企業競争力の向上に一定の貢献を果たした半面、経営側との癒着関係を形成して従業員の労働条件の向上に寄与しない「御用組合」の問題も度々指摘されている。逆に韓国においては、賃上げ・雇用などをめぐり要求貫徹路線をとる企業別組合が少なくなく、大型ストが発生すると社会から「集団利己主義」との批判を受けることもよくある。

 一方、韓国・日本の企業別組合の類似点は組織的脆弱性である。

 日韓両国の企業別組合は大企業正社員を中心に組織されており、低賃金・不安定雇用など劣悪な労働条件におかれている中小企業労働者や非正規労働者に対する組織力が弱い。

 そのため、労働組合運動勢力にとって、労働組合の組織再編や中小企業労働者・非正規労働者の組織化が重要な課題になっている。

 1997年末の通貨危機以降、韓国では産業別組合など企業別組合とは異なる組織形態への再編が積極的に模索されている。

 表を見ると、産業・地域・業種など企業の枠を超えた組織形態の労働組合(超企業労組)の組合員数は2006年(61万8356人)から2015年(109万9020人)にかけて約48万人増加しており、超企業労組の組合員が労働組合員全体に占める割合も2006年(39・7%)から2015年(56・7%)にかけて18㌽上昇している。

 ナショナルセンター別では在野系である民主労総が組織再編に積極的である。民主労総傘下では現代自動車の労組が有名であるが、現代自動車の労組は企業別組合ではなく、民主労総系の産業別組合である全国金属労働組合(2001年設立)の傘下に現代自動車支部(2006年に金属労組に加入)として存在する。

 民主労総は大企業労働者が多く組織されており、自動車業界などの大企業労組が産業別組合に編入されていった。

 雇用労働部の「全国労働組合組織現況」によると、民主労総の超企業労組の組合員数(2015年時点)は53万1819人と企業別労組の組合員数(10万4430人)を大幅に上回っている。

 このように統計の数値を見ると、組合の組織再編がかなり進捗しているような印象を受ける。

 しかし、労組の産別化が進められていても、企業別組合体制で見られる諸問題は解決されていない。なぜなら、韓国の産業別組合は、他の先進諸国でみられるような産業別組合とは異なり、傘下の組織(支部・支会)が企業別単位になっていることが多いためである。

 既存の企業別組合が産業別組合に加入しても、企業別単位の支部・支会が独自の規約を設けたり、企業別水準の団体交渉を継続したりすれば、企業別組合とさほど異ならない組織体制となる。これは大企業の組合支部を中心に見られる。


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