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2017/11/24

<トピックス>私の日韓経済比較論 第75回 回復基調の韓国経済                                                  大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、00年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授。

◆景気後退時に備えマクロ経済政策準備を、半導体特需と米中の景気好調で◆

 北朝鮮問題、韓米FTA再交渉など様々な難問に直面している文在寅政権であるが、景気に関しては強運に恵まれている。これを数値で確認しよう。

 まず、四半期GDP成長率であるが、2017年7~9月は季節調整済前期比が年率換算で5・7%という近年に無い高い値となった。さすがにこの成長率は瞬間風速的なものであるが、韓国銀行が10月に公表した成長見通しでも17年の成長率は3%とされており、12年以降では2度目の3%台に乗ることが見込まれている。足下の経済指標も力強い動きを示している。景気とほぼ同時に動くとされている鉱工業生産指数は、季節調整済前月比が7月には1・0%増、ほぼ横ばいであった8月を挟んで、9月には0・9%増と堅調に推移している。また季節調整済の失業率も10月は3・4%、このところ着実に低下している。

 これら数値を見ると、文在寅大統領の経済政策がさっそく功を奏したかに錯覚してしまう。しかしながら、この景気の強い動きは、誰が大統領であっても、また自爆的な超緊縮的な財政政策あるいは金融政策を打たない限り達成できたことに留意が必要である。景気に関してのみ見れば、朴槿惠政権は運がなく、文在寅大統領は運が味方したといえる。

 韓国の景気に関する強運とは米国と中国の景気がともに好調なこと、半導体特需といったフォローの風が吹いていることである。韓国の景気に最も大きな影響を与える外的要因は世界の景気、とりわけ米国と中国の景気である。米国は息の長い景気回復を続けているが、中国は16年まで景気が本調子ではなかった。しかし、17年には本格的な拡大基調となった。現在は、2つのエンジンにより韓国景気が引き上げられている。

 また、半導体のうち韓国が強いメモリーの価格は、16年の夏を底に上昇を続けている。NAND型フラッシュメモリーの指標品の価格は、17年10月時点で前年の同月と比較して6割高い水準となっている。また、DRAMの指標品の価格も2年7カ月ぶりの高値となっている(日本経済新聞電子版:17年11月10日による)。

 韓国の景気は半導体の価格に左右されることが少なくない。97年に発生した通貨危機の遠因のひとつは、95年のピークからDRAM価格が大きく値を下げたことなどにより、96年から景気が後退したことである。半導体のメモリーといったひとつの品目の価格動向で景気が左右されることが、韓国経済の大きな特徴である。

 韓国景気へのフォローの風はいつ逆風になってもおかしくない。米国の景気は今後の金融引き締めによっては予断を許さない状態であり、


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