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2018/06/08

<トピックス>韓国企業と日本企業 第64回 世界が北朝鮮問題の解決方法を探る⑥                                                    多摩大学アクティブラーニング支援センター長 金 美徳 教授

  • 多摩大学アクティブラーニング支援センター長 金 美徳 教授

    キム・ミトク 多摩大学経営情報学部および大学院ビジネススクール (MBA)教授。1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。三井物産戦略研究所を経て現職。

 世界の多くの国は、北朝鮮問題を他人事とは見なさず、当事者意識をもって問題解決に臨んでいる。ここでは、「対話の仲介」を務める3カ国の事例を紹介するが、前号でスイスとスウェーデンの事例を紹介した。3カ国目は、ノルウェーが、北朝鮮問題の解決に向けて対話の仲介役を務めている。ノルウェーのソルベルグ首相(女性)は、ノルウェーにとって北朝鮮は2軒隣りの国、「ノルウェーの隣国はロシア、ロシアの隣国は北朝鮮」という地政学的視点で北朝鮮外交を展開している。17年5月ノルウェー・オスロで米朝の非公式の協議が行われた。非公式の協議には、北朝鮮外務省の崔善姫北米局長(当時)と米国元政府高官が出席した。崔局長は、北朝鮮外務省で対米交渉や核問題を担当しており、崔永林元首相の娘で米朝交渉のキーマンである。

 17年5月には、ローマ法王が、ノルウェーの仲介による米朝問題の解決を提案し、ノルウェーの役割に大きな期待を寄せている。ノルウェーは、90年代から「和平仲介人」として世界各地の紛争解決を仲介した実績がある。例えばコロンビアの内戦終結、中東和平問題「オスロ合意」、グアテマラの内戦終結、スリランカの内戦終結、フィリピンの和平交渉、スーダンと南スーダンの紛争解決に関与・貢献した。北朝鮮のサッカー代表チームの監督は、元ノルウェー代表のヨルン・アンデルセン氏が務めていた。

 ここまで「対話の仲介」を務める3カ国の事例を紹介したが、1つ浮かび上がる共通点がある。それは、北朝鮮問題に当事者リーダーシップを発揮し、果敢に解決に臨んでいるのは「女性」だということである。例えばスイスのロイトハルト大統領(女性)、スウェーデンのバルストロム外相(女性)、ノルウェーのソルベルグ首相(女性)である。また、北朝鮮も崔善姫北米局長(当時)が女性であり、現在は外務次官を務めており、米朝交渉のキーマンである。さらに、金正恩委員長に影響力をもつと言われているのが、妹の金与正(序列ナンバー4、実質ナンバー2)、妻の李雪主、異母姉の金雪松の3名の女性である。韓国も康京和外相が女性である。北朝鮮問題は、これらの女性や世界の女性リーダーたちが、主導して話し合えば大きく前進するのではなかろうか。

 次に日本の課題を考える。日本の北朝鮮政策は、「対話のための対話をしない」(もう対話をしない)、「圧力を強化し、北朝鮮自らが政策転換をすることを待つ」という政策である。しかしこの「圧力の強化」一辺倒の北朝鮮政策と米国追随型北朝鮮外交では、限界があると考える。

 日本は、02年と04年の小泉首相(当時)の訪朝により5名の拉致被害者を帰国させるなど拉致問題解決の突破口を切り開いた。また、「日朝平壌宣言」を採択し、関係改善に向けた大きな一歩を踏み出した。これらの成功の秘訣は、小泉首相(当時)の気概と「日朝平壌宣言」のグランドデザインが、金正日総書記(故人)と北朝鮮政府の琴線に何か触れるものがあったからである。また、日本が、メッセージをシンプルかつストレートに伝えることができたからである。この成功体験を改めて肯定的に総括し、「日朝平壌宣言」を再評価する必要があるのではなかろうか。

 日本は、北朝鮮問題の解決、米朝・日朝国交正常化、朝鮮半島の統一に貢献できる大きな力を秘めている。特に北朝鮮核問題の解決にあたり日本が、


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