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2021/01/15

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第120回 悲運の画家・李仲燮                                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 切手に見るソウルと韓国 第120回 悲運の画家・李仲燮                                                   郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究

  • 切手に見るソウルと韓国 第120回 悲運の画家・李仲燮                                                   郵便学者 内藤 陽介 氏

    韓国現代美術の傑作、李仲燮の代表作「白い牛」の切手(1989年)

 ことし(2021年)は丑年。朝鮮の伝統絵画の画題としては、牛は農村の象徴として描かれることが多いが、「自らは誰も攻撃はしないが、触れれば直ちに反撃して怒りを吐き出す」という牛の性質に着目し、これを抵抗の象徴として描いた画家がいる。

 韓国のゴッホともいわれる李仲燮(イ・チュンソプ)がその人で、彼の代表作「白い牛」は、韓国現代美術の傑作として、1989年には切手にも取り上げられた。

 李仲燮は、日本統治時代の1916年9月16日、現在は北朝鮮の支配下にある平安南道平原で富農の末息子として生まれた。母方の実家がある平壌の鐘路普通学校で学んだ後、1929年、京城(現ソウル)に出て、五山高等普通学校に入学し、エール大学に留学経験のある美術教師、任用璉から美術の指導を受けた。


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